平成20年2月2日から25日まで20名の解析結果
アンケートのご回答誠にありがとうございました。これまでの集計結果をご報告いたします。
私のブログの中でも時々耳痛について取り上げていきたいと思います。
ここで簡単にメニエール病の耳痛についてまとめてみます。
現状ではメニエール病の10%以下の人に見られる症状と考えられています。
頭痛、耳鳴りの合併が多いです。
担当医師の理解はそれほど高くないようです。
耳痛の苦痛度は様々なようです。
肝心の治療ですが私の経験では片頭痛の予防治療が有効のようです。具体的には三環系の抗うつ薬や抗けいれん薬などを使用します。
治療を希望される方は受診が必要となります。
以下は医学的な内容です。
<はじめに>
片頭痛とメニエール病の合併に興味をもち詳しく診療を行っているうちにメニエール病患者には頭痛のみならず耳痛が多いことに気づきこのアンケートを開始し
た。インターネットアンケートのため40代女性が多いという患者の偏り、およびメニエール病の診断の正確さの問題はあるが以下の結果を得た。
<結果総括>
耳痛は耳鳴りに随伴することが多い
痛みの頻度は毎日から週1回という高い頻度であり時間は短時間から長いこともあるということであったがどの程度の時間かは今後の検討を要する。
診断治療については医師には話していない例も多く、積極的な治療を行っている例は無かった。
<まとめ>
全体の患者数が不明のため耳痛の割合がわかりませんが外来での印象ではメニエール病患者さんの20%程度と考えています。罹患期間が長い方に多い印象があります。
今回のアンケートでは罹患期間、耳痛の左右、両側の質問をいれるべきでした。
片頭痛の合併が30%に認められた。片頭痛の機序を説明するのに用いられている三叉神経仮説(三叉神経終末より
P物質やカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)などの神経伝達物質が放出されると血管が拡張し、血漿蛋白の血管外漏出、肥満細胞の脱顆粒がおこり、
神経原性炎症neurogenic inflamationが惹起され片頭痛がおきるというもの。)がある。
メニエール病の耳痛は舌咽神経あるいは三叉神経の痛みであると考えられる。そのことからこの耳痛は舌咽神経、三叉神経に片頭痛発作と類似した現象が起きるために生じるのではないかと考えている。
また耳鳴りと耳痛が同時に起きる症例が多いことから聴神経にもなんからの影響が起きている。
医師の中ではメニエール病の耳痛に関しての認識は決して高いといえず病態の解明と共に啓蒙活動が必要である。
特に質問18の1の回答であるこの病態に対する説明を求める声は重要である。すべてが血行不全で説明しようという安易な説明は現状では致し方ないものの私自身納得がいかない。
メニエール病患者における耳痛はメニエール病の病態、治療を考える上でも重要であり今後さらなる検討を要する。
平成20年2月25日
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